看護師もダブルライセンスで働く時代!?おすすめ資格14選
近年、看護師の資格に加えて別の専門資格を取得する「ダブルライセンス」という働き方が注目を集めています。看護師として働く中で、さらなるキャリアアップや活躍の場を広げたいと考える方におすすめのキャリアパスです。
しかし、なかなかダブルライセンスによる働き方のイメージが沸かずに、行動の一歩を踏み出せずにいる方も多いようです。
そこでこの記事では、看護師のダブルライセンスの魅力と可能性をお伝えします。保健師、助産師、ケアマネジャーをはじめとするおすすめ資格7選を中心に、それぞれの特徴や取得方法、実際の働き方までをまとめて紹介します。看護のスペシャリストを目指す方に向けた認定資格や、カウンセリング分野での活躍の可能性についても触れていきます。
1.看護師のダブルライセンスとは
看護業界で注目されているダブルライセンスとは、看護師の資格に加えて、複数の専門的資格や免許を取得することを指します。具体的には、看護師としての基本的な知識・スキルに加え、他の国家資格や公的資格を得ることで、専門性を高め、より総合的な視点から患者さんのケアを行えるようになります。
また、働く上での選択肢を増やすことにもつながり、特に転職を考えている場合、複数の資格を持っていることで、より多くの選択肢が生まれ、希望する職場への就職チャンスが広がります。
ダブルライセンスは看護師個人のキャリア発展だけでなく、医療現場が提供するサービスの質の向上にもプラスとなる選択肢です。個別化医療や地域包括ケアシステムの推進など、多様化する医療ニーズに応えるため、そして自身のキャリアを充実させるアプローチとして看護師のダブルライセンスが注目されているのです。
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2.看護師のダブルライセンスのメリット
看護師のダブルライセンスにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
4つのポイントを紹介します。
2.1 専門性の向上
ダブルライセンスは、単に資格を増やすだけでなく、看護師としての専門性を大きく向上させるきっかけにもなります。例えば、認定看護師や専門看護師といった上位資格を取得することで、特定の専門分野における高度な知識と技術を習得できます。
新たな視点や知識を得ることで、日々の看護実践に確かな裏付けを持って取り組めるようになり、自信を持って業務に当たることができます。
2.2 キャリアの幅が広がる
ダブルライセンスによって、看護師としてのキャリアの幅が大きく広がります。例えば、看護師と保健師の資格を取得すると、病院だけでなく地域の保健センターや企業の健康管理部門など、より多様な場所での活躍が可能です。
また、同じ医療系の資格の中でも認定看護師や専門看護師など、看護系で専門分野に特化した資格を取得することで、高度な知識やスキルが求められる専門性の高い診療科やクリニックでのニーズにマッチでき、自分のキャリアプランや適性に合った職場を選びやすくなるのもメリットです。
2.3 給与アップの可能性
複数の資格保有者には、給与面でプラスに働く可能性が高いです。
医療機関では専門資格を取得しているスタッフに対して「資格手当」を支給しています。看護の現場では認定看護師や専門看護師の資格を持つ看護師などが良い例で、専門性の高い資格に応じた手当を受けられるケースが一般的です。
また、より高度なスキルや知識が求められる業務を任されることで、基本給自体が上がる可能性も高まります。
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2.4 転職時に有利になる
ダブルライセンスは、転職活動を進める上で大きな強みとなります。
応募条件に指定された資格が必要な求人に応募できるだけでなく、一般的な看護師求人においても、競争力を高めることが可能です。
例えば、介護老人保健施設(老健)では、看護師の配置基準が定められており、看護師とケアマネジャーの資格を持つことで介護業界での転職もスムーズに進められる可能性が高いと考えられます。
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3.おすすめのダブルライセンス資格7選
看護師のダブルライセンスにおすすめの資格を7つ厳選して紹介します。
3.1 保健師
保健師は、地域や学校、企業など様々な場所で、幅広い年齢層を対象に保健指導や健康支援を行う専門職です。主な仕事内容は、健康診断の実施と保健指導、生活習慣病予防のための健康教育、母子保健事業の企画と実施、高齢者の介護予防活動、感染症対策の立案と実施などです。
活躍の場は、市町村の保健センター、企業の健康管理部門、学校、病院の地域連携室など多岐にわたります。近年は地域包括ケアシステムの推進に伴い、保健師の需要がさらに高まっています。
保健師になるには、保健師国家試験受ける必要がありますが、看護師資格を取得している、もしくは取得する見込みがある場合に受験することができます。看護師資格をすでに持っている時は、1年以上の保健師養成課程を修了すると保健師国家試験の受験資格を得られます。
一方、看護師免許を持っていない場合は、看護系大学の保健師課程に進学し、看護師資格と保健師資格の受験を同時にすることが最短で保健師資格を得る方法になります。
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3.2 助産師
助産師は、妊娠から出産、産後の母児の健康を支えるために保健指導を行います。主な仕事内容は、出産の介助、妊産婦の健康管理、母子の保健指導などで、正常な妊娠・分娩・産褥の場合、医師の立ち会いなしで分娩介助できることが特色となっています。
助産師になるには、まず看護師資格を取得しているか、取得見込みであることが前提となります。資格取得までの経路は主に2つです。
1つ目は、看護系大学で助産師選択課程を選び、卒業時に看護師と助産師両方の国家試験受験資格を得る方法です。
2つ目は、看護師資格取得後に、看護系大学院(2年間)もしくは看護大学専攻科・別科、看護短期大学専攻科、助産師養成所(いずれも1年間)で専門教育を受ける方法です。どちらの場合も、最終的に助産師国家試験に合格する必要があります。
助産師の活躍の場は産科だけに留まらず、不妊治療クリニックでの相談業務、思春期の性教育、更年期女性のヘルスケア相談、地域の母子保健活動など、女性の一生を通じた健康支援に多彩な形で関わることができます。
3.3 ケアマネジャー(介護支援専門員)
ケアマネジャーは、介護を必要とする人々のケアプランを作成し、介護サービスの調整役として重要な役割を担います。高齢者や障害者の生活の質を向上させる上で、ケアマネジャーの存在は欠かせません。
ケアマネジャーは国家資格ではなく公的資格であり、試験は各都道府県で管轄・実施されています。資格取得には、まず受験資格として看護師免許に加え、5年以上かつ900日以上の実務経験が必要です。
その後、都道府県が実施する介護支援専門員実務研修受講試験を受験し、合格後に実務研修(32時間以上)を修了することで、正式にケアマネジャーとして登録できます。
看護師経験を持つケアマネジャーは、医療的な視点からケアプランを作成できることや、緊急時の対応や家族へのサポートなどに強みがあります。また、医療機関や訪問看護ステーションとの連携もスムーズに行える点もメリットです。
3.4 介護福祉士
介護福祉士は、高齢者や障害者の日常生活をサポートする国家資格です。食事・入浴・排泄の介助、掃除や洗濯などの生活援助のほか利用者やその家族の相談支援など、幅広い業務を担当します。本来、看護師が医療行為を担うのに対し、介護福祉士は生活全般のサポートを行う存在です。そのため、ダブルライセンスによって医療と介護の両面からより総合的なケアを目指すことができます。
介護福祉士の資格取得方法には、介護福祉士養成施設で学ぶ「養成施設ルート」、福祉系高校を卒業後に国家試験を受験する「福祉系高校ルート」、実務経験を積んだ後に受験する「実務経験ルート」があります。
高校を卒業した方がもう一度高校に通うこともできますが、既に看護師の場合は、養成施設ルートと実務経験ルートでの取得が一般的です。
実務経験ルートでは、看護師の実務経験では受験資格を満たせないので、介護士に転職して実務経験を積む必要があります。具体的には、3年以上の実務経験と実務者研修(450時間)の修了後、国家試験に合格することで資格を取得できます。
3.5 社会福祉士
社会福祉士は、利用者やその家族との相談、助言、関係機関との連携調整など福祉に関する相談や支援を行います。介護福祉士は利用者に対し直接的な介護を行いますが、社会福祉士は福祉サービスのコーディネートを担う役割です。
資格取得の方法は、受験者の学歴や実務経験によって複数のルートがあります。看護師の場合、四年制大学卒業者は社会福祉士養成施設で必要な課程を修了すると、国家試験の受験資格が与えられます。
一方、それ以外の学歴の場合は、まず1年以上の相談援助の実務経験を積んだ後、養成施設でカリキュラムの修了が必要です。いずれのルートでも、最終的に国家試験に合格することが求められます。
3.6 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
リハビリテーション専門職の国家資格で、理学療法士(PT)は身体機能の回復や維持を、作業療法士(OT)は日常生活動作の回復と精神面のケアを行います。言語聴覚士(ST)は言語・聴覚・嚥下機能の回復をサポートするスペシャリストです。
看護師がダブルライセンスを取得することで、より専門的なリハビリテーションケアが実践できるようになります。資格取得方法に関しては、指定養成校や大学で専門的な学習を行い、国家試験に合格することが必要になります。
詳細は職種により異なりますので下記のURLを参考にされてください。
〇厚生労働省 jobtag のホームページ
「理学療法士(PT)」
「作業療法士(OT)」
「言語聴覚士」
3.7 精神保健福祉士
精神保健福祉士は、精神障害者の社会復帰と地域生活支援を専門とする国家資格です。相談援助、生活訓練支援、就労支援などを主に精神科医療機関や福祉施設で行います。
精神看護の専門性が高まり、患者の社会復帰支援に取り組むことができるため、看護師にもおすすめの資格です。
資格取得には、看護系4年制大学卒業者は1年以上の養成施設で指定課程を履修後、国家試験に合格する必要があります。また、看護専門学校や短期大学を卒業した人は、相談炎上業務の実務経験を1~2年経験し、1年以上養成施設で指定過程を履修することで国家試験を受けることができます。
4.看護のスペシャリストを目指せる資格4選
看護のスペシャリストを目指せる看護系の上位資格を4つ紹介します。
4.1 認定看護師
認定看護師は、特定の看護分野において熟練した技術と知識を有する看護師で、実践、指導、相談の3つの役割を担い、現場でのケアの質向上に取り組みます。専門性を活かしてチーム医療の中核を担う重要な存在となっています。
資格取得には5年以上の臨床経験と600時間以上の教育課程の修了が必要です。また、21の専門分野があり、5年ごとの更新制となっています。
4.2 専門看護師
専門看護師は、患者のみではなくその周囲の人たちを含めたケアを実施し、人間関係や地域までを幅広くサポートを行います。資格を取得するには大学院修士課程修了 と5年以上の臨床経験が求められます。
専門看護師には、14の専門分野があります。「実践、相談、調整、倫理調整、教育、研究」の6つの役割を果たし、医療現場や地域社会において質の高い看護ケアの提供と看護の発展に貢献しています。
専門看護師資格は、5年ごとの更新制で、常に最新の知識とスキルの維持をし続ける必要があります。また、認定看護師よりも専門性が高く、資格取得も難しくなっています。
専門看護師の詳しい仕事内容や資格の取得方法を知りたい方はこちら▼
専門看護師とは?役割や認定看護師との違い、資格取得の条件や費用まで解説!
4.3 認定看護管理者
認定看護管理者は、看護現場における組織のマネジメントに特化した資格です。組織全体の看護の質を向上するため、教育体制を整え人材を育成することや、労働環境・職場環境を整理すること、安全管理を推進し医療事故を防ぐ危機管理能力等が求められます。
資格取得には5年以上の臨床経験(うち3年以上は管理職経験)と、認定看護管理者教育課程サードレベルの修了または関連分野の修士号が必要です。看護管理のスペシャリストとして、組織全体の効率化と業務の質の改善・維持に取り組みます。
4.4 診療看護師(NP:ナースプラクティショナー)
診療看護師は、一定レベルの診療行為を自律的に行える高度実践看護師です。医師との連携のもと、より幅広い医療行為を担当します。
5年以上の実務経験と、国内の大学院修士課程のNP養成課程を修了(見込みも可)または海外でのNP資格取得によって認定資格試験の受験資格ができます。
有資格者は、通常の看護師や特定看護師よりも広い範囲の医療行為を実施できます。例えば、人工呼吸器の設定変更、褥瘡処置、点滴の投与量調整といった特定行為に加え、医師の直接指示のもとで手術の助手を務めたり、腹腔穿刺なども対応可能です。そのため、在宅医療の現場や、医療施設の少ない地域での活躍が期待されています。
参考:日本NP学会
特定行為や特定看護師について詳しく知りたい方はこちら▼
特定行為研修制度とは?修了者ができること・目的・医師側のメリットを解説
今、医療現場で「特定看護師」が活躍している?行えること・なる方法を解説
5.カウンセリング分野で活躍できるプラスの資格
カウンセリング分野で看護師の活躍の幅が広がるおすすめの資格を3つ紹介します。
5.1 産業カウンセラー
産業カウンセラーは、企業で働く従業員のメンタルヘルスケアを行うスペシャリストです。従業員の抱えるストレスや人間関係の悩みなどを、カウンセリングを通じて心理学的にサポートします。また、職場環境の改善を提案するケースもあります。
企業内の健康管理室や企業研修の講師としての活躍が期待でき、キャリアの幅を広げることができます。
5.2 チャイルドカウンセラー
チャイルドカウンセラーは、10歳までの子どもの心理と発達に関する専門家として、不登校、いじめ、発達障害など、子どもが直面する様々な問題に対する適切な支援を行います。
活躍できる場には、子どもの気持ちに寄り添いながら効果的なケアが求められる小児科や学校保健などがあります。子どもたちを取り巻く環境は激しく変化をしており、子育てや子どもとの関わり方に悩みを抱える方も多くなっています。
カウンセリングを行うにあたり、必要な知識や技能を得ることは、小児科や精神科、診療内科などでも大いに役に立ちます。また、受講や検定試験も在宅で行うことが可能なため、仕事をしながらも取りやすい資格になっています。
5.3 不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター
不妊カウンセラーは、不妊に悩む夫婦・カップルに対して、妊娠・出産、不妊治療全般に関する情報提供と心理的サポートを行います。看護師が不妊カウンセラーの資格を取得することで、医療の専門知識を活かしながら、治療選択のアドバイスから心理面のケアまで、総合的なサポートに繋がるメリットがあります。
一方、体外受精コーディネーターは、体外受精や顕微授精など、高度生殖医療に特化した知識に基づく情報提供を行います。看護師の実務経験を活かしながら、複雑な治療方法に関する説明、不妊治療に伴うカウンセリングや心理的ケアが主な役割です。
いずれの資格とも、不妊治療の現場で重要な役割を果たしていますが、体外受精コーディネーターの方がより高度な専門性が求められ、資格取得の難易度も高くなっています。
参考:日本不妊カウンセリング学会「不妊カウンセラー・体外受精コーディネーターとは」
6.まとめ
看護師のキャリアアップや活躍の場を広げることができるダブルライセンスは、将来のキャリアイメージを踏まえて選択することが大切です。
おすすめの資格は多彩で、今の業務の専門性を高めることもできれば、他の知識や経験を得ることで新たなキャリアが広がる可能性も秘めています。
また、新たな資格を取得することは自信にもつながり、仕事のモチベーションを高めることもできます。
ぜひ今回の記事を参考に、キャリアプランや興味関心に合う資格を見つけ、ダブルライセンスへの一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
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