看護師を目指す方・看護学生必見!看護師の就活のポイントを徹底解説
看護学生は、看護実習に国家試験に向けての勉強、そして就活の全てをほぼ同時に進めなくてはなりません。自習や国家試験で学ぶ知識や技術も大切ですが、目標や理想としている看護師を目指すには、希望にあった就職先を探すことが重要です。
この記事では、将来看護師を目指す方や看護学生に向けて、就活を始めるタイミングや準備すべきこと、志望先の選び方など、看護師の就職のポイントを紹介していきます。
また、これから進学する方に向けて専門学校・短大・大学といった選択肢の特徴も紹介しています。ぜひご自身の環境に合わせて進学・就活時の参考にしてください。
1.看護師になるには?
看護師になるには、文部科学大臣または厚生労働大臣指定の「四年制大学」「短期大学」「専門学校」「看護師養成課程校(5年一貫)」を卒業し、看護師国家試験に合格する必要があります。
なお、2年制の看護系の短期大学や養成所もありますが、そこで取得できるのは「准看護師資格」になっています。
看護師資格と准看護師資格は異なるもので、准看護師は医師や看護師の指示なしには看護を行うことができません。准看護師から看護師になるためには、実務経験を積んだ後、2~3年間看護師学校養成所に通う必要があります。
また、准看護師は学んだ教育以上の役割や業務を求められることが多く、現在は看護師資格一本化へ向けた取り組みが進んでいます。
このような経緯もあり、これから看護職を目指す方は、「看護師免許」を所得することを検討してみてもよいかもしれません。
参考:(看護)医療関係技術者養成学校一覧(文部科学省)
参考:医療関係職種養成施設(厚生労働省)
参考:法務大臣に要望 法務省における准看護師養成の停止を(公益社団法人 日本看護協会)
参考:准看護師制度について(公益社団法人 日本看護協会)
参考:看護師を目指す就活マニュアル(ナースパワー)
2.看護師を目指すことができる学校ごとの違いや特徴
看護師を目指すことができる学校にはどのような違いや特徴があるのでしょうか。まずは、学習期間や学費などの違いを表で見ていきましょう。
四年制大学 (国公立) | 四年制大学 (私立) | 専門学校 | 短期大学 | 看護師養成課程校 | |
学習期間 | 4年間 | 4年間 | 3年間 | 3年間 | 5年間 |
学費(総額) | 250万円程度 | 460万~700万円程度 | 300万円程度 | 300万円程度 | 150万~350万円 |
受験資格 | 高卒 | 高卒 | 高卒 | 高卒 | 中卒 |
国公立大学と私立大学では4年間の学費が倍以上になることもあります。負担が大きく変わるので、将来のキャリアなども踏まえた上で他の進学先と比較検討することをおすすめします。
次に、それぞれの学校の特徴を紹介してきます。
四年制大学
2024年看護師国家資格の結果によると、大学を経て看護師になる割合は40%程度です。看護師として働き始められる年齢は他の進学先よりも遅れますが、初任給は高くなる傾向にあります。
四年制大学は、三年制の専門学校や短期大学と比べて実習の時間が長く設けられています。そのため、看護師になった時点での知識やスキルが高い状態でスタートできます。
看護の学士を取得する四年制大学では看護にまつわる知識・技能・態度・倫理観・生涯学習力・創造的思考力を包括的に学べます。四年間の経験は多様な対象者の看護ケアを行う看護師の基盤となるはずです。
専門学校・短期大学
専門学校を経て看護師になる割合は2024年時点で45%程度でした。短期大学は約2%にとどまっています。専門学校と短期大学は学習期間が3年間のため、四年制大学よりも早く看護師になれる点が特徴です。
看護系の短期大学や専門学校の卒業後は、四年制大学への編入も可能になっています。大学によっては、保健師や養護教諭一種免許などを取得できるため、進学を視野に入れることも可能です。
看護師養成課程校
看護師養成課程校は、高等学校の看護科の3年間と看護専攻科の2年間の、合わせて5年間を一貫したカリキュラムで看護師を養成するための教育機関です。中学卒業後に5年一貫看護学校に進むため、最も早い20歳で看護師として働くことができます。
看護師養成課程校は最初の3年間を修了した時点で高卒資格が得られます。また、5年一貫の教育なので、後半の2年間の専攻科に進むための入試はありません。
3.看護師の就活はいつから始まる?就活を成功させるための年間スケジュール
【就職活動内容とその時期】
応募開始など、本格的に就職活動を開始するのは最終学年の4~5月です。しかし、就職活動をスムーズに開始させるためには自己分析や情報収集といった事前の準備が欠かせません。
それぞれの項目については、次の章で詳しく確認していきます。
4.看護師の就活は準備で決まる!採用試験までにやるべきこと
就活は就職するために行うものですが、入職することはゴールではなく、その病院やクリニックで働くことで自身が目指す看護師になるためのスタートです。そして、看護学生以外の就活生がそうであるように、看護師になれればどの病院やクリニックでもよいと思っている方は少ないはずです。
就職活動を始めるための準備には、入職とは関係のないように思えて身が入らないものもあるかもしれません。しかし、「なぜその活動や準備が必要なのかを知ることで疑問を解消することが大切です。後悔のない就職活動を行うために採用試験までにやるべき内容やその目的を確認していきましょう。
4-1.自己分析
自己分析とは、その名の通り「自分のことを知る」ために行うものです。自分のことは自分が一番分かっていると思いがちですが、自分を客観的に見る機会はあまりないものです。自分は何が好きで何が苦手か、どんな性格なのかといったところから、自分のことを客観視してみましょう。
自己分析をすることで、自分の強みも具体的に分かってきます。自己分析をする際には、頭の中だけで考えるのではなく、文章化するのがおすすめです。そして自己分析の段階では「自分がどんな看護師になりたいか」「どんな病院・クリニックで働きたいか」といったところまで明確にしていきます。自己分析で得られた結果は、自己PRや志望動機、目指す働き方などといったものにもつながってくるものですので、徹底的にやることをおすすめします。
とはいえ、自分を客観視することは簡単ではありません。気恥ずかしいかもしれませんが、親や友人、アルバイト先の店長などから「自分がどういう人間か」を聞いてみることから始めるとよいでしょう。
4-2.情報収集
病院やクリニックなどの情報を集める段階です。病院の方針を知ることで「こういう環境で働きたい」と気づくこともありますので、自己分析と並行して行うとよいでしょう。
この段階では、病院の合同説明会や見学会にも参加していきます。実際の病院を見ることで自身が目指す看護師像がはっきりとしていくことも少なくないため、少しでも興味がある説明会には積極的に参加しましょう。
また、説明会には先輩看護師とともに実際に患者への看護が体験できるプログラムが含まれているものもあります。実際の働き方を知って気づくことも多いはず。ぜひさまざまな病院の見学会に参加することをおすすめします。
4-3.志望する病院・クリニックを絞り込む
説明会や資料請求などを行い、情報を収集したら、実際にどの病院やクリニックに応募をするのかを考えていきます。新卒の場合は多くの方が病院勤務を目指します。しかし、実際に求人を検索してみると、クリニックであっても多くの新卒向け求人があります。まずは病院勤務というイメージがあるかもしれませんが、自身が目指す働き方や看護師像から、どちらが適しているかを比較するとよいでしょう。
まず、病院勤務の特徴としては毎年一定数の新卒が入職してくるため、新人のための教育制度が充実しており、研修やセミナーへ参加することで知識やスキルの向上がしやすい環境にあることが挙げられます。また、さまざまな診療科があるので、数多くの症例を学べる点もメリットです。一方で入院患者がいるため、夜勤があり、生活が不規則になりやすい点は注意が必要です。
クリニック勤務の特徴としては、患者の急変や重症患者への対応がないので、精神的にゆとりが持てる点や夜勤業務が少なく、休みも規則的に取りやすいことがメリットとして挙げられる一方で、事務作業や電話対応も業務に含まれ、また病院と比べると研修制度は充実していないことから、看護スキルの習得が難しい傾向にあり、自主的な学習が必要となることもあるでしょう。
5.志望先をどう選んだ?先輩たちの体験談
新卒の看護師たちは、初めての就職活動で「本当にこの選択でよいのか」と迷ってしまうことも多いでしょう。そのようなときには、周りの意見を参考にすることも重要です。先輩看護師は何を基準に志望先を選んだのか、体験談をみていきましょう。
病院の理念に惹かれたAさん
Aさんは「地域に根ざした医療を行う」という病院の理念に共感し、入職を決めました。地域密着型の病院として、患者だけでなく地域住民との交流を行っているところが印象に残り、この病院なら全ての年代で男女問わず、地域で生活する方に寄り添う看護ができるという思いが決め手になったようです。
職場の人間関係を重視したBさん
母親が看護師であることがきっかけで看護師を目指したBさんは、職場のスタッフの人間関係を最も重視して就活を行いました。さまざまな病院で実習を受け、実際の職場でのスタッフのやり取りや対応を間近で見て、志望先を絞っていったようです。
看護師としての学びを重視したCさん
自身がどの分野の看護スキルを身に着けていきたいかが定まりきっていなかったCさんは、救急医療から緩和ケアに至るまで幅広い医療を一貫して提供している病院を志望しました。また、看護の知識やスキルを高めていきたいと思いから、先輩看護師がマンツーマンで一定の期間、臨床実践を指導する「プリセプター制度」がある病院を選んでいます。
6.看護師の就活で気になるQ&A
看護学生が就活を行う上で、疑問に抱きやすいことやよくある質問について、先輩看護師の体験をもとに回答します。
- 病院への資料請求数やエントリー数はどのくらいですか??
-
情報の数は多くて困るということはありません。資料請求や合同説明会などを合わせて30病院ぐらいの情報を集める方が多い傾向があります。多い人だと100病院ほどに資料請求をしていることもあります。入職先選びで迷っているのなら、なおさら多くの情報から少しずつ精査、取捨選択していくことをおすすめします。
- 地方校から関東や関西の中心部への就職は難しいですか?
-
そんなことはありません。関東や関西の病院も地方出身者に就職してほしいと思っています。関東や関西の中心部の病院も地方の病院合同説明会へ参加しているケースがあります。地方校だから就職に不利になることはないので安心してください。
- 美容整形クリニックの看護師志望ですが、新卒採用はしていますか?
-
新卒採用を行っている美容整形クリニックももちろんあります。ただ、候補となるクリニックが少ない場合は、他の進路と比較検討することが重要です。また、そのクリニックで「自身がなりたい看護師像」に近づけるのかどうか、キャリアの視点からも検討するとよいでしょう。
- 国立・公立の病院と民間病院の違いはなんでしょうか?
-
病院毎に異なりますが、大きな違いは福利厚生、教育制度です。国立・公立は福利厚生や教育制度が整っている傾向にあります。それぞれの病院の資料を請求し、内容を比較することをおすすめします。
- 病院見学会に参加しないと就職に不利になりますか?
-
病院見学会に参加することがその後の採用試験に影響するかどうかは病院によります。それは就活生側が分かることではありません。就職のために参加するのではなく、病院のことを知るために参加するのが望ましいでしょう。
病院見学会を経て志望する気持ちが高まったのなら、それは志望動機に大きくつながります。病院見学会への参加自体が就職に有利に働かないとしても、他の就活生との志望動機の差別化や、志望先病院の絞り込みにつながるので、病院見学会には積極的に参加することをおすすめします。
7.まとめ
看護師になるためには、大学や専門学校などで所定の教育課程を修了し、国家資格を取得する必要がある点で一般的な就職活動とは大きな違いがあります。しかし、就職先となる病院やクリニックへの就職活動という点で見ると、看護学生特有のものがあるわけではありません。重要なのは、就職はゴールではなくスタートであるということです。
後悔のない就職のためには、就職活動だけでなく、自己分析に始まる就職準備を怠らずに徹底的に行うことが必要です。今回の記事が、看護師になるための参考になれば幸いです。
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