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介護施設での看護師ライフ:働き方・給与を施設別に解説、病院勤務との違いを探る

介護施設で働く看護師

超高齢化社会の到来とともに、介護施設の入居者の医療ニーズが急増し、看護職の需要が高まっています。

しかし、介護分野に興味はあっても、その具体的な働き方や役割が見えにくいため、踏み出せないと感じる人も少なくありません。

本記事では、介護施設で働く看護師の役割や仕事内容、働き方について、病院での看護とは異なる視点から詳しく解説します。

1.介護施設で働く看護師の役割

介護施設で働く看護師の役割は、介護スタッフと連携しつつ、医療専門職としての責任を果たし、入居者の健康と安全を確保することです。

介護施設には医師が常駐していない場合が多く、医療行為を行えるのは看護師のみとなります。看護師は医療の専門知識を活かし、入居者の健康管理や医療ケアを担います。

そのため、医師が常駐しない施設では、看護師の役割が一層重要です。日々の医療ケアのみならず、入居者の体調が急変した際には看護師が応急処置を施し、救急隊や医師への迅速な引き継ぎを行うことで入居者の安全を守ることが求められます。

2.病院看護師との違い

介護施設で生活する対象者は、原則として要介護認定を受けた65歳以上の方になります。病気や怪我を治療するために入院する病院とは異なり、生活機能の向上や維持しながら日常生活を行うことを目的としています。

そのため、介護施設で働く看護師は病院看護師と比べて医療ケアを行う機会は少なくなります。

しかし、利用者の容体が急変した場合、病院のように医師の判断を仰ぐことができないため、看護師自身が的確に状況を判断し、応急対応を行う必要があります。特に小規模な施設では看護師の人数も限られており、その分、責任も大きくなります。

介護施設での看護師業務では、介護業務をサポートする場面もあり、医療ケアと介護の両面でチームワークが重要です。介護スタッフと密に連携をとりながら、医療専門職として入居者の健康を見守り、介護現場全体の円滑な運営に貢献することが求められます。

3.介護施設で働く看護師の業務内容

ここまで病院看護師との働き方の違いを解説してきましたが、介護施設で働く看護師はどのような業務を行うのでしょうか。介護施設で働く看護師の業務内容について詳しく見ていきましょう。

3-1.利用者の健康管理のサポート

多くの介護施設には医師が常駐していないため、看護師が入居者一人ひとりの健康を見守り、適切な対応を行うことが求められます。そのため、看護師が利用者の健康状態を日々把握し、変化を見逃さないことが重要です。

利用者の健康管理に関わる業務は、体温や血圧、脈拍などを測定するバイタルチェックから口腔ケアや爪切り・爪磨き、耳掃除といったケアまでさまざまです。

健康管理業務は、利用者の生活の質を支えるだけでなく、異常の早期発見にもつながります。

3-2.利用者の療養のサポート

病気を抱えている入居者に対しては、日常的な療養ケアが必要です。看護師は、介護職と比べて医療知識が豊富なため、療養に関する業務を率先して担い、入居者の健康維持を支える役割を果たします。

また、介護老人保健施設(老健)や指定介護老人福祉施設(特養)では、感染症や転倒などの健康障害を防ぎ、重度化を予防するために、医師や介護職と連携して取り組んでいます。このように、看護師は入居者が安心して生活できる環境を支える中心的な存在です。

療養に関する主な業務

・皮膚のケア(軟膏の塗布や湿布の貼付など)
・ケガや創傷の処置
・服薬管理
・人工肛門(ストーマ)装具の排泄物の処理
・尿道カテーテルの準備
・通院の付き添い

3-3.利用者に対する医療行為

介護施設における看護師の役割は非常に重要です。特に、医師が常駐していない施設では、利用者の体調が急変した際に迅速に対応することが求められます。看護師は応急処置や病院への引き継ぎといった医療行為を担い、利用者の命を守る大切な役割を果たします。

ただし、看護師が医療行為を行うには、医師の指示や指導が必要です。

【介護施設における看護師の医療行為】

・点滴の準備や実施
・採血
・痰の吸引
・インスリン注射の管理
・胃ろうや尿道カテーテルの挿入

4.【介護施設別】看護師の働き方や年収

介護施設は、公的施設と民間施設の2種類があり、入居の条件や目的など様々です。利用者の介護度も異なり、日帰りや入居など利用の方法も施設によって異なるため、働く看護師の給料も変わってきます。

ここでは、4つの介護施設をピックアップし、看護師の働き方や給料についてみていきましょう。

4-1.有料老人ホーム

有料老人ホームは、高齢者が安心して生活を送るために設けられた施設であり、入居者に対して日常生活を支援する幅広いサービスを提供します。入浴、排せつ、食事の介助といった基本的な介護のほか、食事の提供やその他日常生活に必要な支援が含まれます。有料老人ホームは、一般的な福祉施設とは異なり、法的には老人福祉施設や認知症対応型のグループホームに該当しない施設として分類されています。

働き方の観点から見ると、有料老人ホームでは多職種の連携が重要なポイントとなります。介護スタッフだけでなく、看護師、栄養士、生活相談員などが協力して入居者一人ひとりの健康状態や生活状況に合わせたケアを提供します。また、夜勤やシフト制の勤務が一般的ですが、近年では働きやすい環境づくりが進められ、ワークライフバランスに配慮した柔軟な働き方が導入されるケースも増えています。

種類サービス内容特徴
医療特化型有料老人ホーム・医療ケアを提供する(気管切開や在宅酸素療法など)
・生活のサポート
(食事や洗濯清掃など)
・身体介護
(入浴や排泄など)
・リハビリなど機能訓練
・医療依存度の高い方が対象となる
・看護師が24時間配置されている場合が多い
・緩和ケアや看取りも対応可能
介護付き
有料老人ホーム
・生活のサポート
(食事や洗濯清掃など)
・身体介護
(入浴や排泄など)
・リハビリなど機能訓練
・レクレーションなどイベント
・医療依存度は低く、基本自立した方が多い
・看取りに対応していない場合もある
住宅型有料
老人ホーム
・生活のサポート
(食事や洗濯清掃など)
・介護サービスは提供されない
・要介護となった場合は、訪問介護などの在宅サービス事業者と契約し、介護を受ける必要がある
・看取りに対応していない場合もある
健康型有料
老人ホーム
・生活のサポート
(食事や洗濯清掃など)
・介護サービスは提供されず、認知症や介護が必要となった場合は退去しなければならない。
・看取りは行っていない

有料老人ホームには複数の類型がありますが、ここでは利用者が可能な限り自立した日常生活を送ることができるように機能訓練や生活上の支援を行う「特定施設入居者生活介護」のデータを紹介します。

常勤非常勤
正看護師419,753円/月379,005円/月
准看護師367,189円/月364,601円/月

関連する記事はこちら▼
【現役看護師の経験談を紹介】医療特化型有料老人ホームで働く看護師の実際とは?

4-2.特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホーム(特養)は、日常生活で常に介護が必要であり、在宅での介護が困難な高齢者に対して、日常生活の介護や健康管理を提供する施設です。入居者には、日常生活全般にわたる介護や健康管理が提供され、安心して暮らせる環境が整えられています。

特養では、常に介護が必要な高齢者が生活するため、介護スタッフは身体介護(入浴・排せつ・食事など)を中心に行い、入居者の個別のニーズに対応します。日中だけでなく夜間もケアが必要となるため、夜勤を含む交代制勤務が主流です。

また、入居者一人ひとりの生活に寄り添うケアが重視されるため、定期的にカンファレンスを開き、多職種での情報共有を行います。

常勤非常勤
看護師405,350円/月360,966円/月
准看護師375,826円/月316,431円/月

※出典より、特養にあたる「地域密着型介護老人福祉施設」データを紹介しています

4-3.介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設(老健)は、病状が安定しリハビリテーションや介護が必要な高齢者が在宅復帰を目指して生活する施設です。医師や看護師、理学療法士などがチームを組み、医療と介護の両面からサポートを提供します。

老健の目的が「在宅復帰」であることから、リハビリテーションが中心となる支援が行われるため、理学療法士や作業療法士などリハビリ職が活躍する場面が多いのが特徴です。また、看護師は入所者の健康管理やリハビリのサポート、定期的な診察の補助などを行います。

定期的にカンファレンスを開き、各専門職が意見を共有しながら入所者ごとの目標に沿ったケアプランを立案・実行します。

老健では24時間体制でのケアが求められるため、看護師は早番・遅番・夜勤のシフト制で勤務することが一般的です。

常勤非常勤
看護師462,955円/月385,687円/月
准看護師401,606円/月342,847円/月

4-4.デイサービス

デイサービスは、自宅で生活している高齢者が日中施設を利用し、必要な介護やリハビリテーション、レクリエーション活動などを受けられるサービスです。利用者の健康管理や介護予防を目的とし、看護師はバイタルチェックや健康相談などを通じて、利用者の安全をサポートします。

また、緊急時の応急処置や医療機関との連携も看護師の重要な役割です。介護職員やリハビリ専門職と協力し、利用者一人ひとりに適したケアを提供するための調整役としても活躍します。デイサービスでの看護師の働き方は、日勤が中心で夜勤がない点が特徴的です。

常勤非常勤
看護師372,883円/月348,795円/月
准看護師334,391円/月318,674円/月

出典:厚生労働省「令和5年度介護事業経営実態調査結果」

5.介護施設で働く看護師のスケジュール

介護施設で働く看護師は、以下のようなスケジュールで1日を過ごしています。

時間スケジュール内容
9:00出勤・全体ミーティング:スタッフ間で情報共有やその日のスケジュールを確認します。
9:30健康チェック:施設内を巡回し、入居者一人ひとりの体温や血圧などの健康状態を確認します。
10:00 医療処置:医師の指示に基づき、必要な医療ケア(例:点滴や軟膏塗布など)を実施します。
11:00入浴サポート:介護職と協力して入浴前後の健康確認やサポートを行います。
12:00食事介助:介護スタッフとともに、入居者の食事をサポートし、摂取状況を確認します。
13:00昼食休憩:リフレッシュしながら午後の業務に備えます。
14:00健康チェックとレクリエーション:再度の健康確認と、入居者とのふれあいの場を設けます。
15:30カンファレンスと記録作業:スタッフ会議に参加し、健康管理記録や翌日の準備を行います。
17:00申し送り:夜勤スタッフへの引き継ぎで重要な情報を共有します。
17:30退勤:業務を終え、翌日に備えます。

多くの介護施設で働く看護師は日勤のみのシフトが中心ですが、介護老人保健施設や特別養護老人ホームなど一部の施設では夜勤が必要な場合もあります。

また、特定の施設では夜間の緊急対応としてオンコール体制が敷かれることもあり、夜間の対応が求められるかどうかは施設ごとに異なるため、就業前に確認しておくことが大切です。

6.看護師が介護施設で働くメリット

看護師が介護施設で働くことには、病院勤務にはない多くのメリットがあります。時間や体力的な負担を軽減しながらも、入居者一人ひとりと長期的な関係を築けるのが特徴です。

また、プライベートと仕事を両立しやすい職場環境も魅力の一つです。以下では、介護施設での看護師業務のメリットを具体的に解説します。

6-1.残業が少なく、プライベートを大切にできる

病院とは異なり、急患対応が少なく、基本的に決められた時間で業務を終えることができる点が挙げられます。時間外勤務が発生する場合もありますが、病院に比べて残業は少ない傾向にあります。また、デイサービスなど夜勤やオンコールが不要な施設も多く、育児や介護と仕事を両立しやすい環境です。

6-2.身体的負担が少ない業務内容

介護施設での看護師業務は主に入居者の健康管理や服薬サポートが中心で、身体介護も介護士と分担して行うため、体力的負担が病院勤務に比べて少なめです。

インフルエンザなど感染症が流行する時期に一時的に業務量が増えることはあるものの、ルーティンワークが多く、年配の看護師やブランクがある看護師にとっても働きやすい職場といえるでしょう。

6-3.入居者と長期的な関係を築ける

介護施設では、入居者と「じっくり長く向き合う看護」が可能です。生活の場としての介護施設で、入居者の生活に寄り添い、日々のケアを通じて生きがいや喜びのある生活を支えることができます。これを大きなやりがいに感じる看護師もいます。

7.看護師が介護施設で働くデメリット

介護施設で働くことには多くの魅力がある一方で、課題やデメリットも存在します。看護師としての働き方やスキルに影響を与える可能性があるため、事前に理解しておくことが大切です。

以下では、介護施設で働く際に直面する可能性のあるデメリットについて詳しく説明します。

7-1.看護師の人数が少ないため、自身で判断する場面が多い

介護施設では看護師の配置人数が限られていることが多く、日によっては「看護師が自分一人だけ」という状況になることがあります。病棟でのチーム医療に慣れている看護師にとって、孤独感や不安を感じることがあるかもしれません。ただし、常勤医や提携先医師への確認、本部のマネージャー看護師に相談できる施設も多いので、事前にフォロー体制を確認することが重要です。

7-2.病院勤務に比べて収入が下がる傾向がある

介護施設では夜勤がない職場も多いため、給与が病院勤務に比べて下がることがあります。特にデイサービスなどでは数十万円程度年収が低くなるケースが一般的です。一方、夜勤やオンコールのある特養や老健、有料老人ホームなどでは、病院勤務と同等の待遇を受けられる施設もあるため、自分の働き方に合った施設を選ぶことが大切です。

7-3.医療スキルの維持が難しい

介護施設での看護業務は、入居者の健康管理や服薬管理が中心で、高度な医療処置を行う機会が限られています。そのため、医療技術を活用する場面が少なく、新しいスキルを学ぶ機会も限られることがあります。医療依存度が低い施設では特に、急性期対応がなく、日々のスキル維持に不安を感じる看護師もいます。

8.介護施設で働く看護師に役立つ資格「特定看護師」

特定看護師とは、厚生労働省が定める「特定行為研修」を修了した看護師を指します。特定行為研修を修了した看護師は、医師や歯科医師の具体的な指示を受けることなく、一定の診療補助行為を遂行することが可能となります。

厚生労働省の調査によると、特定行為研修修了者に対して期待される役割として、「利用者の医療ニーズに対する施設としての対応力の強化」が最も多く挙げられ、その割合は84.8~89.2%にのぼります。

高齢化社会において医療的なケアが必要な利用者が増える中、施設全体の対応力を向上させたい意図が伺えます。また、「看護職員のキャリアアップ」を挙げる回答も62.2~75%と多く、看護師の専門性向上が施設運営において重要視されている現状が見えてきます。

特定看護師がもたらすメリット

・特定行為研修で得た知識を活かし、利用者の異変を早期に察知して適切な判断を行い、迅速な介入が可能となる

・異変に対する早期対応により、利用者の受診回数を減らすことができ、利用者や家族の負担軽減にもつながる

・医療的ケアが必要な利用者の受け入れ体制を強化し、施設全体のサービスの質を向上させることができる

一方で、特定行為研修を受講させる意向がない施設では、「施設内に特定行為研修修了者が活躍できる場面が少ない(51.2~70%)」が主な理由として挙げられています。

また、「人員体制上、研修を受講する時間を確保できない(35~48.8%)」という課題も多く見られます。これらは、施設ごとの業務内容や人員配置の制約が背景にあると考えられます。

出典:厚生労働省「資料4 施設等における特定行為研修制度の推進について」

9.介護施設で働く看護師に役立つその他の資格

介護施設で働く看護師が専門的な資格を取得することで、自身のスキルを向上させるだけでなく、施設内での役割が増えます。特定看護師以外の役立つ資格については下記のとおりです。

資格名概要主に役立つ場面
老人看護分野専門看護師高齢者特有の健康問題や医療ケアに特化した専門知識を持つ資格高齢者ケア全般、家族への指導、質の高い看護提供
認知症看護認定看護師認知症患者への適切なケアと家族支援に特化した資格認知症ケア、心理的サポート、他職種との連携
介護福祉士介護の幅広い知識とスキルを持つ国家資格身体介護、生活支援、包括的なケア提供
福祉住環境コーディネーター高齢者や障がい者が安全に生活できる住環境を整えるための資格施設環境の改善、在宅復帰支援
認知症介助士認知症の基礎知識を学び、患者との適切な接し方を実践する資格認知症患者との日常的な関わり、円滑なコミュニケーション
認知症ケア専門士認知症ケアに特化し、進行や症状に合わせた個別ケアを提供する資格個別ケア提供、患者と家族への包括的なサポート

10.まとめ

介護施設で働く看護師には、医療ケアと介護の両面でチームワークを発揮し、入居者の健康と安全を守ることが求められます。また、専門資格の取得や特定看護師としてのスキルアップを通じて、施設内での役割を広げることも可能です。

介護施設で働くことには、働きやすさややりがいといった多くのメリットがある一方で、看護師の人数が限られる中での孤立感や、医療スキル維持の課題といったデメリットも存在します。そのため、施設ごとの業務内容や人員体制を理解した上で、自身のキャリアプランに合った選択をすることが重要です。

超高齢化社会において、介護施設の需要はますます増加していきます。看護師として専門性を活かしつつ、働きやすい環境を選び、利用者に寄り添うケアを提供することで、自身のキャリアをより充実させることができるでしょう。

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