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訪問歯科×看護師|仕事内容・役割・職場・転職メリットを徹底解説

訪問歯科 看護師

高齢化が進む現代の日本では、「食べること」や「話すこと」といった口腔機能の維持が、健康寿命や生活の質(QOL)に直結する重要なテーマとなっています。中でも、自宅や介護施設で療養生活を送る方々にとって、通院せずに歯科診療を受けられる「訪問歯科」は、生活を支える大切な医療の一つです。

その現場で活躍しているのが、訪問歯科に従事する看護師です。看護師としての専門性を活かしながら、歯科医師や歯科衛生士と連携し、患者様の口腔内だけでなく全身の状態にも気を配りながらケア行います。

本記事では、訪問歯科で働く看護師の仕事内容や役割、活躍の場、やりがいや課題までをわかりやすく解説します。

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1.訪問歯科とは?対象者・診療内容を分かりやすく解説

訪問歯科は、歯科医師や歯科衛生士が歯科医院への通院が難しい方の住居や介護施設、医療機関などを直接訪問し、歯科治療や口腔ケアを提供する診療サービスです。身体的な理由や認知機能の低下により歯科医院への通院が困難な方でも、必要な歯科診療を継続できる体制が整えられおり、自宅や介護施設、医療機関など、生活の場を中心に提供されます。

1-1. 訪問歯科の対象となる利用者・利用条件

主な対象は、加齢や障害、病気などにより外来通院が困難な在宅療養者や施設入居者です。要介護認定の有無だけで判断されるものではなく、訪問診療の必要性は歯科医師が個別に判断します。内科など他科に通院している場合でも、状況によって訪問歯科の対象となる場合があります。

サービスを受けられる場所は診療所から半径16km以内の自宅や、介護施設、医療機関などに限られています。一方で、デイケアや歯科のある病院に入院している場合は対象外となるため、利用希望時は条件の確認が必要です。生活の場で歯科医が直接介入することで、利用者の日常生活や介護環境に合わせたケアや治療が可能になり、歯科ケアが受けられない不安が解消されます。

1-2. 訪問歯科の主な診療内容

訪問歯科では、虫歯や歯周病の治療はもちろん、入れ歯(義歯)の作製・調整・修理、摂食・嚥下リハビリテーション、専門的口腔ケアなど多岐にわたる歯科診療が行われます。また、患者様の体力や生活環境に合わせて柔軟な対応が可能であり、必要に応じてレントゲン撮影などの検査も自宅や施設で対応できるケースがあります。

1-3. 訪問歯科に関わる医療職

訪問歯科の現場では、歯科医師・歯科衛生士のほか、看護師や歯科助手、介護スタッフなど多職種が連携して診療やケアにあたります。看護師にとっても、自身の医療知識や口腔ケア技術を活かし、患者様の生活や健康全般を支える大変重要な役割があります。

また、患者様やご家族、介護者の状況を理解しながら、衛生指導や口腔機能維持にも積極的に関わることで、QOL(生活の質)や食べる楽しみの復活など、患者様の「生きる力」に寄り添う活動もできます。訪問歯科は看護師の新たな活躍の場としても注目されています。

出典:日本歯科医師会「歯科訪問診療」

2.訪問歯科の現状と看護師の需要

超高齢社会を迎えた日本では、歯科医療を必要とする高齢者の数が年々増加しています。日本歯科医師会の調査によると、要介護高齢者の約64.3%が何らかの歯科治療や口腔健康管理の必要性を抱えていますが、歯科医療に実際に繋がっているのは2.4%と、ニーズに対して提供体制が大きく不足しているのが現状です。

要介護者の口腔状態と歯科治療の必要性

こうした背景の中で注目されているのが、在宅や施設にいながら歯科診療が受けられる訪問歯科です。今後さらに高齢化が進むことを考えると、訪問歯科の重要性とそのニーズは今後ますます高まると予想されます。こうした現状を受けて、国や日本歯科医師会でも「在宅医療の質の向上」や「生涯を通じた口腔機能の維持・推進」を政策として強化しています。

また、訪問歯科が果たす役割は、単なる歯の治療にとどまりません。近年の研究では、口腔機能の維持や改善が「食べる」ことだけでなく、「生きる力」やQOL(生活の質)の向上にも直結することが明らかになっています。正しい口腔ケアを続けることで免疫力が高まり、噛むことが脳に刺激を与え、老化の予防にもつながるとされています。

このように、訪問歯科は超高齢社会における健康寿命の延伸やQOL向上を支える重要な役割を担っています。今後、訪問歯科の現場では、歯科医師や歯科衛生士だけでなく、看護師にもより専門的な知識とチーム医療での活躍が求められるでしょう。次章では、歯科医院や訪問歯科で働く看護師と歯科衛生士の役割や違いについて、詳しく解説します。

出典:日本訪問歯科協会「正しい口腔ケアでQOLを向上させよう!」
出典:日本歯科医師会「データで見る2040年の社会と今後の歯科医療」

3.歯科医院等で働く看護師と歯科衛生士の違い

歯科医院をはじめとした医療機関では、看護師と歯科衛生士がともに活躍しています。どちらも国家資格を有する専門職であり、医師や歯科医師の指示のもと、医療を支える重要な役割を担っています。しかし、業務内容や働き方、対象となる患者層などには大きな違いがあります。

歯科衛生士と看護師の主な違いは下表のとおりです。

項目歯科衛生士護師
必要資格国家資格(歯科衛生士国家試験)国家資格(看護師国家試験)
業務範囲歯科予防処置、保健指導、診療補助療養上の世話、診療補助、手術補助など
平均年収(全体)約405.6万円約519.7万円
健康な人への対応あり(予防・定期健診など)基本的に対象外(病気の人中心)
女性の割合約99%(令和2年時点)約91%(令和4年時点)

訪問歯科の現場では、看護師は全身管理の視点から患者様の健康状態や持病への対応を行い、歯科衛生士は口腔ケアのプロフェッショナルとして予防や衛生指導を専門とします。

看護師が訪問歯科に携わることで、歯科医師・歯科衛生士と連携しながら、より包括的なケアを提供できるのが大きな強みです。 今後、訪問歯科の拡大とともに、医療チーム内で看護師の役割はますます重要になっていくといえるでしょう。

出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
出典:日本歯科衛生士会「令和2年 歯科衛生士の勤務実態調査報告書」
出典:厚生労働省「令和4年度 衛生行政報告例」

4.訪問歯科における看護師の役割・仕事内容

訪問歯科の現場では、歯科医師や歯科衛生士のサポートにとどまらず、看護師としての専門的な知見を活かした多角的なケアが求められます。特に高齢者や要介護者の場合、複数の疾患や身体的制限を抱えるケースが多いため、単なる口腔ケアだけではなく、全身状態を総合的に見据えた支援が重要です。

ここでは、訪問歯科における看護師の役割と仕事内容について詳しく見ていきましょう。

4-1.アセスメント

訪問歯科において看護師は、定期的な口腔内の健診を通じて機能や衛生状態を観察・評価します。単に歯や粘膜の状態を見るだけでなく、嚥下能力、食事形態、発熱や脱水の兆候なども含めてトータルにアセスメントすることが求められます。

また、患者の既往歴や服薬状況、体重やバイタルサインの推移もアセスメントし、食事形態のアドバイスなど生活全体を見据えたケアプラン立案が可能です。

4-2.口腔ケア

患者が自分で口腔ケアを行うことが困難な場合、看護師が直接ケアを担当します。 寝たきりの患者様には、喀痰の吸引を行いながら、スポンジブラシや吸引付き口腔ケア用具を活用して口腔内を清潔に保つなど、高度なケア技術が必要です。これは単なる清掃行為ではなく、感染症の予防や嚥下機能の維持、QOL向上にもつながる重要なものです。

嚥下障害がある方や術後の方に対しては、誤嚥リスクに配慮したケアが求められ、義歯の状態や痛みの有無、飲み込みの様子を的確に観察しながら進める必要があります。また、患者や家族に対し、正しい口腔ケアの方法を説明し、日常的なケアが継続できるよう支援することも看護師の役割の1つです。

4-3.診察・処置のサポート

診察や処置の際には、歯科医師の指示に従って必要な器具や薬剤を準備し、患者の体調管理にも留意しながらスムーズな診療を支えます。処置中には、バイタルサインのモニタリングや点滴、必要に応じた吸引、術後の経過観察などを行います。

特に高齢者や複数疾患を抱える方では、全身状態の急変に注意を払いながら、安全な治療環境づくりにも貢献しています。

4-4. 多職種連携での調整役

訪問歯科では、施設職員や家族、ケアマネジャー、かかりつけ医など多職種との連携が不可欠です。看護師は患者の日常生活や医療・介護情報を把握し、必要に応じて医師や家族、他職種と情報共有・連絡を行います。調整役として、患者様の健康的な生活や口腔機能の維持・改善を支えています。

5.訪問歯科看護師の一日のスケジュール

訪問歯科の看護師は、チームと連携して複数の現場を訪問します。ここでは、訪問歯科で働く看護師のスケジュールを紹介します。

9:00
朝礼・準備

朝礼では、当日の診療スケジュールや患者の治療内容、持参する歯科技工物、連絡事項の共有などを行います。担当施設や患者に合わせて、必要な器具や物品の準備も行います。スムーズな診療のために、情報のすり合わせが欠かせません。

9:15
出発

準備が整ったら、コーディネーターや歯科医師、衛生士とともに患者の元へ出発します。車内では、移動中に次の患者の状態確認や情報整理を行うこともあります。

9:30
午前の診療(高齢者施設や病院)

高齢者施設や病院に到着後、職員の方に挨拶し、診療を開始します。看護師はバイタルサインのチェック、口腔ケア、義歯調整、点滴や処置の補助などを担当します。患者様の全身状態にも気を配りながら、歯科医療に適切に対応するのが特長です。

11:00
診療終了・報告

施設や病院に合わせ、昼食時間の前に診療を終えられるよう調整します。診療後は施設担当者へ治療内容の報告を行い、午前の診療を終了します。

12:00
昼休憩

昼食時間は、移動の合間や次の訪問先に向かう途中で確保します。日によっては診療の合間に休憩を取ることもあります。

14:00~
午後の訪問(グループホーム・個人宅)

午後はグループホームや患者の自宅、病院などさまざまな訪問先へ移動する場合もあります。看護師は、患者様の生活環境に配慮しながら、安全かつ丁寧なケアや診療のサポートを行います。

ポータブルユニットや携帯型レントゲンなどを活用し、外来に近いレベルの処置が可能です。

15:00~16:30
診療終了・途中休憩

午後の診療が終わったら、一度休憩を取ることもあります。天候や移動距離に応じて時間配分が変動することもあります。

18:00
診療終了・帰院

すべての訪問が終了したら医院へ戻ります。診療に使用した器材の洗浄や消毒、カルテの記録、衛生士へのフィードバック、次回の訪問予定の打ち合わせなどを行い、1日の振り返りを済ませます。

19:00
終業

訪問歯科で働く看護師は基本的に日勤帯での勤務となり、夜勤やオンコールは発生しません。規則正しいスケジュールで、ワークライフバランスを保ちやすい職場環境です。

施設や訪問先によって1日の流れは変動しますが、訪問歯科看護師はチームで連携しながら患者一人ひとりに寄り添い、専門性を生かしたケア・診療サポートを担っています。

時間的なゆとりも持てるため、働き方を見直したい看護師、訪問歯科分野に興味のある方にもおすすめできる職場です。

6.訪問歯科看護師として働ける職場

訪問歯科で看護師として活躍できる職場はいくつかのタイプがあり、自分に合った働き方を選ぶことができます。ここでは代表的な職場と、看護師の役割についてご紹介します。

6-1.訪問業務を行っている歯科医院

訪問診療に対応した歯科医院では、歯科医師や歯科衛生士とともに施設や自宅を訪問し、診療を行います。看護師はバイタルサインのチェック、診療補助、口腔ケア、全身状態の評価など幅広い業務を担当します。

外来部門と訪問部門に分かれている歯科医院もあり、訪問診療専門の看護師として勤務するケースも増えています。車で複数の施設を巡回する場合は、看護師自身が運転を担当することもあり、地域に根差した柔軟な働き方が可能です。

6-2.歯科医師と提携している訪問看護ステーション

近年、訪問看護ステーションの中には、地域の歯科医師と連携し、口腔ケアや診療支援を行っている事業所もあります。このような場合、看護師は医師の訪問に同行し、口腔内の清潔保持や摂食・嚥下のサポートなど、患者様の生活の質に直結するケアを提供します。

医療と介護が密接に関わる現場では、歯科分野においても看護師の知識と視点が欠かせません。高齢者や重度障がいのある方にとって、看護師の存在は安心につながります。

7.訪問歯科の看護師についてよくある質問

訪問歯科での看護師の働き方は、病院やクリニックと異なる点が多く、給与やメリット、デメリットなどに疑問を持つ方も少なくありません。ここでは、訪問歯科で働く看護師に関して寄せられることの多い質問に回答します。

Q. 訪問歯科看護師になるにはどうしたらいいですか?

訪問歯科で看護師として働くためには、まず看護師資格(正看護師・准看護師)を持っていれば、特別な歯科の資格は必要ありません。歯科治療そのものに直接関わる場合は歯科医師や歯科衛生士などの国家資格が必要ですが、訪問歯科の現場では、主に患者さんの体調管理や治療時のサポートなど、看護師としての知識・経験が生かされます。

勤め先としては、訪問診療を行っている歯科医院、または歯科医師と提携している訪問看護ステーションなどがあります。歯科医師や歯科衛生士とチームを組むことが多く、診療所から患者さんのご自宅・施設へ訪問するスタイルが一般的です。

転職活動の際は、訪問歯科の求人を出している歯科医院や訪問看護ステーションに問い合わせてみるのが早道です。また、移動のため普通自動車運転免許が必要とされる場合もあるので、免許の有無も確認しておきましょう。

Q.歯科衛生士より看護師の給与のほうが高い?

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、全国の平均年収は看護師519万7,000円、歯科衛生士405万5,600円と、統計上は看護師の方が高い傾向にあります。

項目看護師科衛生士
月給約36万3,500円約29万7,600円
賞与約83万5,000円約48万4,400円
年収約519万7,000円約405万5,600円

ただし、訪問歯科や歯科医院での求人は夜勤・残業手当がないため、病院勤務よりも年収が下がるケースもあります。給与面は職業選択の大きな判断材料のひとつですが、それだけで決めるのではなく、仕事内容や働き方、ライフスタイルとのバランスを考慮することが大切です。

出典:「賃金構造基本統計調査 / 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 」

Q.訪問歯科で働く看護師のデメリットは?

デメリット

・看護スキルが限定されがち
・歯科衛生士との業務の違いに戸惑うことがある
・求人数が少なく職場探しが難しい

訪問歯科看護師の主なデメリットは、看護業務の幅が限定されやすいことです。歯科医師の診療補助や口腔ケア、患者対応が中心となり、救急対応や点滴・幅広い全身管理の機会は少なくなります。そのため、物足りなさを感じる方もいるかもしれません。

また、歯科衛生士との業務分担や役割の違いが曖昧な職場だと、戸惑いや不安を感じる場合があります。求人自体も限られているため、希望条件に合った職場探しには時間を要することがあります。事前に仕事内容や職務範囲をしっかり確認し、転職エージェント等も活用して情報収集の幅を広げましょう。

Q.訪問歯科で働く看護師のメリットは?

メリット

・ワークライフバランスが保ちやすい(夜勤・残業なし)
・身体的・精神的な負担が軽め
・口腔ケア・嚥下リハビリの知識・スキルが習得できる
・自宅や施設での利用者の生活を支えられる
・急変や救急対応のリスクが少ない

訪問歯科の看護師は、ワークライフバランスを重視した働き方ができるのが大きな魅力です。夜勤やオンコールがなく、残業も少ないため、プライベートとの両立がしやすい環境です。

身体的・精神的な負担も病院と比べて軽めです。移乗介助や緊急対応の頻度が低く、急変のリスクも少ないため、落ち着いた環境で勤務できます。体力面に不安がある方や、長く働きたい方に向いているでしょう。

さらに、訪問歯科で働くことで口腔ケアや摂食・嚥下リハビリテーションの知識・スキルを身につけることができ、介護・在宅医療のニーズが高まる現場で専門性を発揮できます。利用者様やご家族との距離も近く、生活や食事に直結したサポートをできるため、やりがいや達成感も実感しやすいでしょう。

8.まとめ

訪問歯科看護師として働くことで、口腔ケアの専門性と全身管理の両面から患者様の健康寿命を支えることができます。

働き方としても、日勤帯・予約制という特性から、ワークライフバランスを重視したい方や、身体的・精神的な負担を抑えながら長く働きたい方にとって魅力的な選択肢といえるでしょう。

ぜひ一度「訪問歯科 看護師」での働き方を検討してみてはいかがでしょうか。

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