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新人看護師にとってプリセプターとはどんな存在?制度の概要や関係構築のヒント

看護師のプリセプター制度

新人看護師は、看護学校時代に実習で臨床現場を経験しています。しかし、実際に国家試験に合格し、新人看護師として職場の一員として働くとなると不安なことや分からないこともあるでしょう。

そのため、新人看護師にとっては、先輩看護師が働く上で大きな存在となり、プリセプター制度について気になっている方も多いかと思います。

今回は、プリセプター制度の概要や内容、うまく関係を構築するヒントを解説します。

1.プリセプター制度とは

プリセプター制度は、先輩看護師が新人看護師に、マンツーマンで指導する新人教育制度のことです。

新人看護師を育成、指導する制度職場によってことなりますが、厚生労働省が推奨する制度の一つに「プリセプターシップ(プリセプター制度)」があります。

新人看護師が臨床現場に出て間もない時期などの初期に有効な制度です。
プリセプターはプリセプティとの日々の仕事を通じ、医療機器などの使用方法、看護技術の向上、対人関係の築き方、医療知識や看護サービスの仕組み、看護師としての心構えや職場のルールなど、広範囲にわたり、学んでいくのです。

【プリセプターとプリセプティについて】

プリセプター制度では、新人看護師を「プリセプティ」と呼び、新人看護師に原則1人ずつつく先輩看護師のことを「プリセプター」と呼びます。

プリセプティは、プリセプターからマンツーマンで実際の業務や職場のルールなどを指導される中で経験を積み、少しずつ成長して一人前になっていくというイメージです。

特に、社会人経験がない若い新人看護師にとっては、プリセプターの存在は非常に重要なものだと言えるでしょう。

参照:厚生労働省「新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】」

2.プリセプター制度の目的

プリセプター制度は、プリセプターがプリセプティを慣れない職場で困ることがないよう様々な面からフォローし、指導するために設けられています。マンツーマンでより細やかな指導をすることで、実際の看護に対する不安を取り除き、看護実践能力を高めていくことを目的としています。

プリセプティにとって、初めて働く職場は分からないことだらけです。
職場ごとに業務の進め方や備品のある場所、医師など他の医療職との連携などのルールは違います。
また、働く上で基本となる職場で定められた就業規則の内容、シフトの決定や希望休の提出の仕方、人間関係構築など業務内容以外にも知っておくべき内容は多岐にわたるでしょう。

最初は、同僚や先輩の顔と名前を覚え、備品の場所や業務手順を覚えるだけでも大変です。
看護学校時代に学んだことを、そのまま現場でスムーズに生かせないケースも少なくありません。

精神的・肉体的に負担が大きいプリセプティをマンツーマンでフォロー、育成するための大切な制度という位置づけとなっています。

参照:厚生労働省「新人看護職員研修 ガイドライン 【改訂版】」

3.新人研修をサポートする制度の種類

プリセプター制度には、いくつかの種類が存在します。
職場の規模や状況によって変動するため、種類を知っておくと安心できるのではないでしょうか。
本章では、プリセプター制度の種類を解説します。

3-1.プリセプターとプリセプティのマンツーマン

基本的な形は、プリセプター1人にプリセプター1人のマンツーマンです。
特定のプリセプターが継続して担当することで、プリセプティそれぞれの習熟度や状況に応じたフォローと指導が可能になります。

3-2.プリセプターの上にもう1人支援役がつく

前述のプリセプター1人にプリセプター1人のマンツーマンの上に、さらにシニアプリセプター(呼称はアソシエイトなど職場によって様々)がつくこともあります。
プリセプターのフォロー、指導内容を確認し、不足する部分を補う役割を担います。

職場によってはプリセプターとシニアプリセプターで教える内容や役割を分担しているケースもあるようです。

3-3.精神面をフォローするメンターがつく

基本となるプリセプター制度の他に、精神面をフォローする相談役としてメンターがつくこともあります。

メンターは、日常業務で失敗して自信を無くしたり、人間関係の悩みを聞いたりして、精神面からプリセプティを支えます。

時には、プリセプターに相談しづらいことを聞いて適切なフォローをすることもあり、プリセプティの心の支えとして寄り添う存在です。

4.プリセプターから教わる指導内容

プリセプティは、プリセプターから看護師として独り立ちするために、職場のルールから業務内容、患者との接し方の中で起こり得る様々な事例など多岐にわたる内容の指導を受けます。

本章では具体的に、どのような指導を受けるのか解説します。

4-1.日常的な業務

日常的な業務は、看護ケアの基本であり、職場ごとにルールが違います。
バイタルチェックやカルテ記入方法、医療機器の操作から申し送りのやり方、備品の保管場所や医師等の医療職との連携まで、1人で一通りの作業できるように教わります。

日々の業務は、看護学校での知識や看護実習の経験以上のことが起こります。少しずつ慣れて、1人でも対応できるようプリセプターが指導、フォローを行うのです。

4-2.看護技術の確認と研修

プリセプティは、看護学校や看護実習で基本的な技術は身に付けていますが、実際に得た知識や技術の通りに行えるわけではありません。
現場の状況や患者の状態を見ながら、臨機応変に対応する必要があります。

プリセプティの技術や習熟度を確認しながら、プリセプターは指導を行い、必要であれば研修を行って職場で困ることがないように支援します。

4-3.学習支援

プリセプティは、看護知識や技術一般は身に付けていますが、配属される診療科などに応じた学習などが追加で必要になります。

医師の指示はもちろんありますが、その職場で多い症例や処置方法、医療機器の操作など、看護学校や看護実習で得た知識や技術以外にも勉強し、より高い看護ケアを目指すのが一般的です。

プリセプターは、プリセプティに学習に関する支援を行い、成長を促します。

4-4.精神的フォロー

プリセプティは、入職直後は精神的にもかなり負担が大きく、不安になったり落ち込んだりすることも珍しくありません。

日常業務では思った通りにできなかったり、失敗したりしますし、先輩看護師や医師など他の医療職との関係構築や人間関係などに悩むケースもあるでしょう。

それらの精神的な負担や悩みを、プリセプターがフォローします。職場によってはメンターが担当するケースもあり、プリセプティの気持ちを軽くし、前向きに業務に取り組めるよう励まし、必要な支援を行うのです。

5.プリセプティから見たプリセプター制度のメリット

プリセプティにとって、プリセプター制度はどのようなメリットがあるのでしょうか。
本章では、具体的なメリットについて解説します。

5-1.質問する人が決まっており、安心して業務を行える

プリセプティにとって、最初は備品の保管場所から日常の業務手順まで、分からないことがたくさんあります。

看護現場では忙しそうにしている看護師や医師が多く、質問したいと思っても誰にどのように聞けばいいのか躊躇することもあるでしょう。
プリセプティに決まったプリセプターがつくことで、安心して質問できます。

また、プリセプティがどの程度業務ができるのか把握してくれているため、段階を踏んで業務を行うことができます。

5-2.常にサポートに入ってくれるため不安が軽減される

入職後、プリセプティとプリセプターは一緒に業務に入り、マンツーマンでプリセプティをフォローします。プリセプティが習得した業務から、徐々にプリセプターは見守る形になっていくのが一般的です。

一定期間は、イレギュラーが発生してもプリセプターが一緒にフォローしてくれるため、プリセプティは不安になることなく業務に取り組めるでしょう。

5-3.継続して指導してもらえるので安心感がある

継続して同じプリセプターに指導してもらえることで、業務習得がスムーズになり、教え方が違うということがないのも、プリセプティにとっては安心材料です。

指導者が複数になると、それぞれ説明の仕方、教え方、手順などが異なるケースもあり、プリセプティが混乱する要因となります。

同じプリセプターに継続して指導してもらうことで、より自分に合った指導を受けられるでしょう。

6.プリセプターと良好な関係を築くためのポイント

プリセプティが、指導役であるプリセプターと良好な関係を築くためにはただ単に言われたことを聞いているだけでは成立しません。積極的な態度や、素直さ、距離感が重要です。

本章では、プリセプターと良好な関係を築くためのポイントを解説します。

6-1.質問や報告は積極的にする

質問や報告は、プリセプティ側から積極的に行いましょう。プリセプターは、本来の業務にプラスしてプリセプティのフォローをしており、非常に多忙なケースが多く、常に見ているわけではないからです。

プリセプティがどこでつまずいているのか、プリセプターが分かりづらいこともあります。
プリセプターも、プリセプティに分かりやすく説明する努力はしていますが、プリセプティ側から分からない点などを伝えることで、より良い指導につながりやすくなります。

6-2.指導されたことを受け入れる

プリセプティにとって、プリセプターの言い方や指導内容がきつく感じられるケースもありますが、まずは言われたことを素直に受け止めようとする姿勢が大切です。

プリセプターも、好んできつい言い方をしているわけではありません。プリセプティの成長を願い、気づいてほしいからこそ言いづらいことを指摘するケースもあります。

「ひどいことを言われた」と感じる気持ちもあると思いますが、なぜそのように言われたのかを一呼吸おいて考えてみる習慣をつけてみるといいでしょう。

6-3.頼るタイミングを考える

プリセプティとプリセプターは、一緒に行動する時間が増えるため、必然的に距離が近くなります。
しかし、いつでもフォローに入ってもらえるからと言って頼り過ぎるとプリセプティ自身の成長につながりません。
自身で行うべきこととプリセプターに頼るべきことを判断し、必要なタイミングで頼ることが大切です。

7.プリセプター制度についてのよくある悩み

プリセプター制度で、プリセプティからよく出るお悩みを集めました。

プリセプターを担当するのはどんな看護師?

プリセプターは、厚生労働省「新人看護職員研修 ガイドライン 【改訂版】」には、「看護職員として必要な基本的知識、技術、態度を有し、教育的指導ができる者が望ましい」とされています。

その職場で一定の経験値を積んでいるだけでなく、プリセプティの見本となる行動ができる3〜5年目の看護師がプリセプターとなるのが一般的です。

プリセプターには、プリセプティの模範となる人格、分かりやすく教える能力も求められるため、誰もが務められるわけではありません。

職場の人員構成や状況によって経験豊富なベテランが務めることもあれば、中堅のプリセプティと年齢がそこまで離れていない看護師の場合もあるでしょう。

参照:厚生労働省「新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】」

プリセプターが怖くて報告や相談がうまくできません。どうしたらいいでしょうか?

プリセプターが、プリセプティの指導が初めてというケースも珍しくありません。
業務に追われ、不本意ながら十分な指導ができない時もあるかもしれません。
また、どのようにプリセプティに説明し、教え、関係を築けば良いのか、悩んでいるケースもあるでしょう。

プリセプティが、プリセプターが怖いと感じてしまうと委縮し、気軽に質問ができなくなってしまいます。勇気を出して、積極的に挨拶をする、声を掛けることから始めてみるといいかもしれません。

プリセプティ自身でできる努力をしても、指導に不安を感じたり、困ったりする場合は、主任や看護師長に相談してみることも視野に入れ、解決策を考えていくことが大切です。

プリセプターとの相性が悪くて、日々の業務を辛く感じています。改善するには?

人の性格や価値観は十人十色です。そのため、プリセプティの価値観や性格と合わないと感じるケースもあるでしょう。
プリセプターとの相性に悩んだ場合は、同僚や先輩看護師に相談し、客観的な視点からアドバイスをもらうのもひとつの方法です。

それでも問題が解決しない時は、主任や看護師長に相談しましょう。プリセプターの変更、働きやすい環境整備など改善される可能性もあります。
ただし、プリセプティの感情や要望を一方的に主張するのではなく、冷静に事実を伝えることが鍵になります。

プリセプターにどこまで相談をしたらいいのか分かりません。適切な関係って?

プリセプターは、仕事だけでなく、職場での悩みや人間関係についても相談できますが、何でもかんでも相談するのではなく、まず自分で考え、解決できる範囲であれば、自分で解決するようにしましょう。

相談する際は、具体的に何で困っているのか、どのような解決策を考えているのかなどを明確に伝えましょう。また、プリセプターの立場を尊重し、感謝の気持ちを伝えることも大切です。
また、プライベートに踏み込まれることを苦手に感じるプリセプターもいるため、立ち入った質問はしない方が無難でしょう。

適切な関係性は、お互いを尊重し、信頼関係を築くことでもあります。相談を通して、仕事だけでなく、人としても成長できるような関係を目指しましょう。

8.まとめ

以上、新人看護師にとって大切なプリセプター制度の概要や、プリセプターから受ける指導内容、いい関係の築き方などを解説しました。

プリセプターは、新人看護師にとって入職後、深いかかわりを持つ先輩であり、指導役です。いい関係が築けるかどうかは、その後の看護師としての成長やキャリアにも大きく影響します。

この記事が、プリセプターとの良好な関係を築くための一助となれば幸いです。

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