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看護師が副業・ダブルワークをする前に知っておきたいことは?成功させるための秘訣

看護師 副業

近年、副業・ダブルワークをOKとする企業が増えてきており、ニュースなどで聞く機会も増えました。

病院・クリニックも例外ではなく、医療機関によっては禁止されているところもありますが、許可があればOKとしている医療機関のほうが上回っている状況です。

今後、働き方の選択肢として副業・ダブルワークを考える看護師も多くなってくるかもしれません。
今回は、看護師が副業・ダブルワークをする際のメリットやデメリットはもちろん、始める前に知っておくべきことについて解説します。

1.副業、ダブルワークの定義と看護師の実情

よく聞く副業やダブルワークは、同じもののように思えますが、実は意味合いが少し異なります。

本章では、一般的な副業、ダブルワークの定義を解説した上で、看護師で使われる副業とダブルワークという言葉がどのような意味合いで使われているかを確認していきます。

1-1.一般的な副業とダブルワークの定義

最初に、世間一般として副業とダブルワークがどのような意味合いで使われているのかを解説します。

・副業

副業とは、本業の仕事を持っている会社員などが、休日などの本業の拘束時間外である空き時間を使い、別の仕事を行うことです。
「本業」「副業」という言葉の通り、本業は主たる仕事、副業はサブ的な仕事という意味合いで使われています。

・ダブルワーク

ダブルワークは、複数の仕事を並行して行うことです。
似たような言葉として兼業もありますが、ダブルワークと同義で使われていると言っていいでしょう。

例えば、午前中はスーパーで働き、午後はコールセンターで仕事するなど、複数の仕事を曜日や時間帯などで変えている方が多くなります。
主たる本業を持っておらず、複数の仕事を掛け持つイメージです。場合によっては、ダブルではなくトリプルなど、3つ以上の仕事を掛け持ちされている方もいます。

1-2.看護師にとっての副業、ダブルワークとは?

解説してきた通り、副業とダブルワークは異なる意味を持ちますが、看護師における副業がダブルワークとしての意味合いで用いられることが多くなっています。

そのため、本記事ではこれ以降、副業とダブルワークをほぼ同義であるという前提で、解説していきます。

2.看護師は誰でも副業ができる?勤務先によってできない理由

副業やダブルワークの意味について理解できたところで、次に気になるのが「看護師なら誰でも副業やダブルワークができるのか?」という疑問ではないでしょうか。
実は、看護師は勤めている職場によって副業ができないケースもあります。

本章では、副業ができる場合とできない場合について、民間の医療機関に勤めている看護師と、国や自治体などの公的な医療機関に務める公務員看護師に分けて詳しく解説します。

2-1.民間の医療機関に勤めている看護師の場合

基本的には副業可能です。
ただし、副業を行う前に勤務先の就業規則にどのように規定されているかを確認し、副業禁止という規定がある場合は従うことが必要となります。

職場によっては禁止されていることもあるため、届出の要否なども含めて勤務先の総務部門や就業規則を確認することをおすすめします。
規定がない場合、自由に副業をしていいと解釈することもできますが、職場に届け出をしておくと安心して副業することができます。もし、副業に関する規定が定められていない場合は交渉してみましょう。

2-2. 国や自治体などの公的な医療機関に勤めている公務員看護師の場合

国や自治体が運営する病院で働く、公務員看護師の場合は原則副業が禁止されています。
その根拠とされているのが、「国家公務員法第103条」と「地方公務員法38条」にある「公務員は営利目的の活動を行ってはならない」という文言です。

ただし、人事院の人事院規則では「営利目的でない活動や一部の副業は可能」と解釈できる文面があります。しかし、別の勤務先で働くという形での副業は「金銭(給与)を得る=営利目的」となるため、できないと考えるのが自然であるという判断になるでしょう。

参照:e-GOV法令検索「国家公務員法」令和5年4月1日 施行
参照:e-GOV法令検索「地方公務員法」令和5年4月1日 施行
参照:人事院「人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」

3.副業が許可されている病院の割合

正規雇用看護職員の副業・兼業に関する規定の整備状況

実際に、正規雇用の看護職員の副業が許可されている医療機関の規定はどれくらいあるのでしょうか。
日本看護協会「2023年病院看護実態調査」によると、「副業・兼業の許可に関する規定がある」と回答したのは44.3%、「副業・兼業に関する規定はない」と回答したのは19.4%と、合計63.7%の医療機関で副業・兼業が可能という結果が出ています。

逆に、「副業・兼業を全面的に禁止する規定がある」と回答したのは35.8%でした。
副業解禁の流れは2018年1月1日に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表し、モデル就業規則から副業禁止の規定を削除したことをきっかけに、解禁する企業が年々増えています。
医療機関についても、今後副業解禁の流れが促進されると予測され、副業が可能な医療機関が増えることが考えられます。

4.看護師におすすめの副業先

では、看護師にとっておすすめの副業先はあるのでしょうか。本章では、副業先の中から、看護師にとって働きやすい副業を紹介します。

・夜勤専従アルバイト

病棟で、夜勤だけ働く看護師です。
夜勤の人員が不足している医療機関は多く、募集が多い上に深夜手当がつくことから稼ぎやすいという利点がありますが、昼間に本業の仕事をしたうえで夜も働くと健康リスクが高まります。
くれぐれも無理のない範囲で働きましょう。

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看護師の夜勤の現状と働き方・キャリアパスへの影響

・老人ホームや介護施設、デイサービスなど高齢者向け施設

老人ホームや介護施設、デイサービスなどの高齢者向け施設で働くこともできます。
病棟とは違い、利用者の介助業務は介護スタッフが行う場合が多いですが、看護師の臨機応変な対応が必要なこともあります。看護師としての主な業務としては医療行為に該当するものになります。

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・健診センター

健康診断を行う健診センターの仕事も、人気があります。土日に健診を行っているセンターもあり、土日だけ働くなど、柔軟な働き方ができるところもあるようです。
普段、病棟で行っている手技を活かすことができるのもポイントです。採血や検査補助など、同じ作業を担当として繰り返すことが多いため、ルーティンワークが好きな方にはおすすめの副業になります。

・保育園・幼稚園

保育園や幼稚園で、子どもたちがケガや発熱等の症状が発生した時に一次対応をします。保育園看護師という立場ではありますが、医療行為を行う機会は少なく、健康な子供たちを相手に保育士と一緒に業務することも多くなります。そのため、緊急性の高い仕事に追われることはなく、精神的に落ち着いて働くことができます。

病児保育をしている施設では、発熱などの症状がある子どもを預かることもあり、一定の臨床経験があると安心して働けるでしょう。小児科の経験があったり、現在働いていたりする方には、特に働きやすい副業になっています。

・ツアーナース

団体旅行に同行し、ケガ人や病人が出た場合の一次対応を行います。自分一人で判断し、対応するためある程度の臨床経験がある方向けです。

ツアーナースは、いつも求人があるのではなく、スポットでの派遣になるため特定の職場を持ちません。宿泊行事などに同行するので、仕事で観光地に行くことができるなど、普段とは違う働き方が出来る魅力的な副業です。

・訪問看護

医師の代わりに患者宅を訪問し、在宅医療を行います。短時間の求人もあり、効率よく稼ぎたい方向けです。反面、患者宅への移動や、報告書作成など事務作業も発生するため、一定の臨床経験がある方が採用されやすい傾向があります。

・コールセンター

企業や自治体の開設した窓口で、電話による問い合わせや対応を行います。
日勤だけでなく夜勤や休日のシフトがある勤務先もあり、座って対応できることも体力的負担が少ないでしょう。

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5.看護師が副業をするメリット

看護師の副業は様々な職場で行えることが分かりましたが、副業をするメリットは一体どのようなものなのでしょうか。本章で看護師が副業をするメリットを具体的に解説していきます。

・収入が増える

最も分かりやすいメリットは、労働時間の増加によって収入が多くなり、経済的に潤うことです。
2カ所以上で働くことで給料日が別の日となれば、クレジットカード等の引き落とし日などにゆとりを持つことも可能となります。
収入自体も、合算で考えることになるため、年収増加という分かりやすい形で実感できる点も嬉しいポイントではないでしょうか。

・経験値やスキルアップにつながる

違った職場で働くことにより、本業で働いている職場とは違った経験や知識を得ることができます。
あえて本業とは違う診療科や環境で働くことを選び、視野の広がりや人間関係、仕事上でのスキルを積み重ねていくことを選ぶことも可能です。
結果的に、一つの職場で働いているだけでは得られない物事の見方や経験値を積み、同じ年月でより多くのスキルを得ることができるでしょう。

・スキマ時間を有効活用する

プライベートの時間を有効に使い、働くことでお金を生み出すという考え方もできます。
時間にゆとりがある方や、子育てが一段落して余裕がある方などにとっては、選択肢の一つとして自分の時間をうまく活用できるという点でメリットだと感じる方もいるでしょう。

6.看護師が副業する際の注意点

実際に、看護師が副業をやってみようと思った場合、ただ単に働けばいいというわけではありません。
本章では、副業をするにあたって注意したいことを解説します。

6-1.本業や自身の健康に影響がでない範囲にとどめる

副業をするということは、本業の時間にプラスαで働くということです。その分、今までであれば休息やストレス発散などに充てていた時間が減少することにもなります。
副業を頑張るあまり、休息時間が減って本業でミスをしたり、疲れが取れにくくなったりするといった影響が出てくることも考えられるでしょう。結果的に、自身の健康にも影響するかもしれません。
くれぐれも、無理のない範囲にとどめてゆとりを持つようにしましょう。

6-2.副業をしていることが周囲に知られないように注意する

職場の規定で認められていたとしても副業をすることに対して、いい印象を持たない方がいるのも事実です。
職場に対して届出をし、許可を得てルールに則っていても、副業にネガティブな考えを持つ方に悪く言われるなどの不利益を被る可能性も否定できません。
職場では副業している事実は伏せ、副業先も職場から離れたエリアを選ぶなど、必要以上にリスクを負うことのないよう工夫することも必要です。

6-3.副業所得が年間20万円を超える場合は確定申告が必要

副業で得た所得が年間を通して合計20万円を超える場合は、確定申告を行う必要があり、超えない場合は確定申告は不要です。
「大した金額を得ているわけではないし、言わなければバレないだろう」と思うかもしれませんが、税務署は様々な形でチェックしています。申告漏れが発覚した場合、悪質だと判断されれば修正申告と正しい税額の追納だけでなく、追徴課税という形で本来よりも多く税金を支払うペナルティが課されます。
ルール上法律に則った対応をしておくことで、リスクや不安を払しょくし、安心して副業できるようにしましょう。

6-4.社会保険の加入対象者かどうかに注意する

副業先では、短時間の勤務であったとしても雇用締約を締結した上で勤務するのが基本です。
働く時間や収入額によっては、アルバイトやパート契約でも副業先でも社会保険に加入しなければならないケースが発生します。

2024年10月時点で、社会保険の加入要件は次の通りとなっています。
・業員数51人以上の事業所で働いている
・週の勤務時間が 20時間以上である(残業時間は含まない)
・給与が月額 88,000円以上(残業代、賞与、通勤手当、 臨時手当は除く)
・2ヶ月を超えて働く予定(契約)がある
・学生ではない(学校を休学中、定時制や通信制に通学している方は、加入対象です)

この条件だけを見ても、自分が社会保険加入対象者かどうかをすぐに判断するのは難しいでしょう。
副業先に「社会保険には加入しない範囲で働きたい」と最初に伝えておくなど、対策しておきましょう。

参照:厚生労働省「兼業・副業等により 2カ所以上の事業所で勤務する皆さまへ」
参照:厚生労働省「社会保険適用拡大対象となる事業所・従業員について」

7.副業を考えている看護師によくある疑問

副業について理解が深まったところで、よくある疑問についてまとめした。

Q1.勤務先は副業OKだけど、副業していることを職場に知られたくない。副業がバレる可能性は?

副業について、自分から情報を発信しないことが大前提になります。
本業の勤務先の近所や、同僚などが多く住むエリア近くで働くと、誰かに目撃される可能性が高まります。他にも、自分から副業をしていることを話さない、SNSで発信しないなど、徹底して自分から情報を出さず黙っていることが、副業がバレないために大切になります。
仲のいい同僚だから…と内緒話のつもりで話した場合、悪気なく同僚が誰かに話してしまうなどの恐れがあります。慎重に対応しましょう。

Q2.副業を複数掛け持ちすると、2つ目の会社でも社会保険加入になるの?

複数の職場で働いた場合、それぞれの勤務先で社会保険の加入要件を満たしているかどうかで判断されます。
2カ所以上で社会保険に加入することになった場合は、「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」という書類を日本年金機構に提出し、社会保険料についてはそれぞれの勤務先の報酬月額に基づき按分し決定しますので、払い過ぎる心配はありません。
また、健康保険証についても選択した勤務先の保険組合からの発行となりますので安心してください。
本業の勤務先と副業の勤務先、双方で社会保険の加入要件を満たした段階で、総務部門に相談してみるといいでしょう。

参照:日本年金機構「兼業・副業等により2カ所以上の事業所で勤務する皆さまへ」

Q3.副業所得が年間20万円を超えない場合でも住民税の対応は必要なの?

副業の所得が20万円を超えない場合、確定申告は必要ありませんが、住民税については別途対応が必要になります。住民税は所得に応じて加算されるため、申告しなければ本来納めなくてはならない住民税の納付漏れが発生する可能性があります。
また、住民税については、特別徴収(勤務先の給与から天引き)と、自分で納付する普通徴収の2種類があります。
もし、勤務先の給与から毎月天引きとなる特別徴収を選ぶと、勤務先で把握している年収より多くなる恐れがあり、副業をしていることがバレる恐れがあるため、副業分の住民税を申告時に普通徴収にしておくと副業を知られるリスクは抑えられるでしょう。

住民税の手続きは、お住いの市町村の住民税を管轄している部署へ問い合わせて、「住民税を納税したい旨と普通徴収にしたいと伝えれば手続きについて案内されます。

Q4.副業は何時間でも働いて大丈夫?

何時間でも働いて構わないというわけではありません。
労働基準法などの法律では、変形労働時間制などの変則勤務を除いて「法定の所定内労働時間を1日8時間」としており、超過した場合は法定外労働時間として扱わなければならないというルールがあります。また、週の労働時間も「40時間」と定めており、超化すると割増賃金の支払いが必要になります。
このルールは、労働者の長時間労働を防ぎ、健康を守るための決まりです。

労働時間の通算とは

副業を許可していても届け出ないといけない勤務先があるのは、長時間勤務のリスクが発生しないよう管理するためでもあります。
「黙っていればわからないだろう」と考えるかもしれませんが、長時間労働で健康を損ない、本業に影響が出ると本末転倒です。副業をする場合は、本業と副業の勤務先ともよく相談し、無理のない範囲で働くようにしましょう。

参照:厚生労働省「副業・兼業時の労働時間の通算のポイント」

8.まとめ

以上、看護師が副業をするにあたってのメリットや注意点、おすすめの副業先などを解説しました。
副業は今後ますます一般化し、看護師も副業をする方が増加することが考えられます。看護師にとっての副業をする際に気を付けたいポイントなどが参考となれば幸いです。

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